6月21日に令和6年6月定例会が閉会となりました。
定例内の具体的な内容は追って活動レポート等でお伝えさせていただきますが、今回は本定例会で提出され、私が副委員長を務める文教経済常任委員会で審査した「上尾市不登校対策に対する請願」について所感を記載させていただければと思います。
【請願】とは・・・
市民が市政に対して、その職務に関する事柄について文書で希望を申し述べるもので、議員の紹介をもって議会にかけられる。採択された請願は、市長等の執行機関へ意見書として送付されることで請願者の趣旨の実現を図ることとされている。
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※36:00~が私の反対討論になります。
前提として、不登校児童生徒の増加は全国的な問題となっており、それは本市においても変わりません。居場所づくりや学習支援については、今後さらに重要性を増すと考えられるため「支援する」というアクション自体は私は推進すべきものと考えています。
本請願は賛成多数で採択されましたが、小池は「反対」の立場にまわりました。今回、思うところもありましたので反対した理由について整理させていただきます。
まず、本請願の主旨は以下の2点となります。
(A)民間フリースクールに通う利用者に対する(市費による)経済的支援
(B)民間フリースクールの意見を聴取・反映する環境の整備
(B)については、民間との連携はさらに重要性を増すと考えられることから賛同できるものです。しかし、(A)については公金が使われる以上しっかりと議論すべきであると考えます。
反対理由① フリースクールの定義や事業内容について
フリースクールについては授業内容や居場所の作り方にも、ばらつきがあり、他自治体の助成制度では「市の認定したフリースクール」や「学校との連携が認められるもの」等の条件が付与されています。
本市においても令和6年2月に「民間施設における出欠取扱いに関するガイドライン」を策定しており、公金で助成金を出す以上、当該ガイドラインを遵守する「フリースクールの認定制度」について、まずは議論がなされるべきと考えます。
反対理由② 経済的支援に「市費」を投じるべきかが未議論状態
不登校児童生徒のいる世帯については、いじめによる不登校等の理由によっては税の還元メリットを第三者に阻害されていると言えるため、経済的助成を受ける妥当性については理解できます。
しかし、フリースクールが不登校児童生徒の学習支援を行うのであれば、学校教員の給与が主に県、また一部を国から支払われていることに鑑みると、市の公費を助成に充てるべきかどうかは議論の余地があると考えます。
また、フリースクールによっては、市外の子どもたちが通うケースもあり、市費を投じた場合、利用者間で経済的不公平が生じる恐れもあります。
そのため、本事項については市でなく「埼玉県」の助成が適切であると感じます。直近で三重県がフリースクール利用者への支援を開始すると発表がありましたが、これも「県費」を活用するものです。
要望を実現するため「実現性」を議論することも議員の仕事
物価高の今、月平均33,000円かかると言われているフリースクール利用者への経済的支援については私自身も必要性を感じています。しかし、前述した議論がなされないまま安易に請願を可決しまうと、重要な論点が埋もれ「実現性」の乏しい内容で行政側に上がってしまうため、結果請願を通しても話が進まないという事態に陥ります。過去にも請願を通したものの、全く進捗していないものもありますが、それはつまり承認した議会にも責任がある可能性があるということです。
本請願についても、上記の通り公費を使うにあたり解決すべきハードルがいくつかあるにも関わらず、請願趣旨の実現性についての議論が少々おざなりになっていると感じています。
とはいえ、採択されたことで議会の意志として要望が市政にあがっていくことになりましたので、今後は私も請願趣旨の実現に向けて、県とのパイプも活用しながら埼玉県に対して利用者への経済支援の必要性について訴えてまいる所存です。
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